1.17を顧みて、日ごろ思っている地震対策を改めて考えてみる。
大地震に堪えられる住まいのために、十分な軸組と構造用合板による耐震性の確保は行っている。
が、それだけでいいのか?
耐震性はその名の通り、地震に耐える性能。
大地震でも建物が倒壊しない程の強度を建物に持たせるのだが、想定する(経験した)震度を上回る地震がくればどうなるのか、、、
幸い、ここ岡山県は大きな地震は少ない。
県による震度予想マップでも、ごく一部の地域で震度6が予想されているだけで、ほとんどの地域では震度5以下の予想になっている。
(南海地震に係る被害想定及び液状化想定の再評価・研究等事業(平成14年度)より)それでも震度5弱で家屋内の家具は移動し、震度5強では転倒の恐れがあることを考えると、住まいが「倒壊」しないだけでは「安心」とは言えない。
耐震性を高めることは、現行法規では、家を「固く」することに他ならない。
一方、固くすればする程、地盤の揺れはダイレクトに建物に伝わり、それだけ「震動」として家具や食器の被害を大きくするといったジレンマを抱えている。
東海地方など、大地震の予想の高い地域を中心に、「免震」装置が住宅にも取り入れられるようになってきてはいるが、コストは400万円前後かかるといい、なかなか全国的な普及は難しいだろう。
柱梁に緩衝材を取付ける、「制振」装置も各社から販売されている。
こちらは50万円程のコストで導入できるが、建物全体の揺れをなくすものではなく、ダンパーで揺れを吸収し、震度を2段階ほど下げるぐらいの効果。
(ただ、震度が2段階下がって、震度6強→震度5強になれば、建物の被害はほとんど無くなる。)
一方、2階の揺れはかなり押えることができるが、地盤の揺れが直接伝わる1階の揺れには効果は少ないとか。
増改築時に導入しやすいことや、車による震動を押えることもできるようで、地震対策の一つの解にはなると思う。
最近、気にしているのは
ビイックという地盤調査会社が考えた、「
地盤制振システム」。
ベタ基礎の下に耐圧版を設け、ベタ基礎との間にすべりシート層を挟み込むことで、すべり効果により、基礎から上の建物の揺れを半減させるというもの。費用は200万円弱。
「免震」では国土交通大臣の認定が必要になり、手続きも煩雑だが、こちらの工法は普通の確認手続きで導入可能とのことなので一般化しやすい工法ではある。
ただ、建物の荷重が加わっても本当に滑るのか?という構造設計者の危惧。
耐久性は?効果が無くなった時に交換(あるいは改修)ができるのか?
といった懸念要素は、やはりある。
地震の被害を考えると、400万円の免震装置でも保険として高くはない。
起るのか、起らないのか。
いつ、どこに、どれほどの。
設計者に地震予知能力は無い。
しかし、正しい知識を仕入れ、正しい情報を伝え、お施主さんと一緒になって納得できる住まいを造っていきたい。
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