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E-ディフェンス その後 

E-ディフェンスの公開実験で、長期優良住宅が倒壊し、波紋を呼んだニュースをご紹介したのが昨年の10月-11月

この実験は、長期優良住宅仕様(耐震等級2)の実験棟と、柱脚の固定をルーズにした実験棟を同時に加震し、比較する実験で、当然長期優良住宅仕様の実験棟の方が強いはずだったのですが、、、

もう一度見てみましょう。が長期優良住宅です。
(見学時に私が録ったこの動画、なんと11500回を超えて再生された様です!)


この実験について、実験の主催者がまとめた最終報告書が公開され、ケンプラッツに掲載されているのでご紹介しておきます。

8/27「長期優良住宅倒壊の真相(1)「両方倒壊」と最終報告」
9/01「長期優良住宅倒壊の真相(2)崩壊か転倒か終局の姿を問う」


要は
・倒壊しなかった実験棟も浮き上がった柱脚が30cmほどずれて着地しており、通常の住宅ではこの時点で(長期優良住宅よりも早く)倒壊していただろう。

・今回の実験で使った地震力は大きすぎ(基準法の1.8倍)、この地震力では両方が倒壊したことになる。

・基準法の想定する地震に対しては長期優良住宅仕様の実験棟も十分な耐力を記録している。

ってとこかな、、、、

でも、実際に残った住宅と倒壊した住宅、、、
上の動画を見て、倒壊した住宅の仕様で造ってください!、、、、って、誰も云わんだろうなぁ・・・・

基準法の1.8倍で、地震波が強すぎたって云っても、
<阪神大震災において付近の全壊率が30%以上だったJR鷹取波と、新潟県中越地震において地震計による計測震度階が震度7を超えたJMA川口波に勝るとも劣らないものがあった・・・>

って、
じゃあ、これらの地震には耐えられないの?
耐えなくてもいいの??

そんなはずは無いだろう!!

大きな震災の度に多くのことを学んでいる。
が、どうすれば、どこまで耐えられるのか、もっともっと考える必要がありそうだ、、、


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[ 2010/09/04 10:47 ] 地震について | TB(0) | CM(0)

E-ディフェンス のつづき 

先月にご紹介した、E-ディフェンスでの長期優良住宅の倒壊実験の動画は一般のニュースに流れ、またケンプラッツという建築関係の情報サイトでも紹介され、大きな反響を呼んでいる様です。

長期優良木造3階建てが「想定通り」倒壊

先月のブログで、「風圧力を見ていないのではないか?」 って書きましたが、説明書をもう一度よく見てみると、風圧力用に不足する分は12mmのプラスターボードで満たしているようでなので、基準法はなんとかクリアしている様ですね・・・・わたしの間違いでした! <(_ _)>
(でも、プラスターボードはおまけのような物・・・私はあまり頼りにはしたくないと思って設計しています
ということは、本当にまともな「長期優良住宅」が倒壊した!!ってことだろな・・・・いいのか!?


研究者の中では、実際に倒壊は免れた方の住宅は、

・柱脚が引き抜け、全体が大きく傾いた ⇒ この時点で構造が破綻
・構造解析の上では、構造が破たんした段階で「倒壊」と見なす。
・つまり、開始10秒で(実際には倒壊しなかった)試験体2は倒壊した!

っていう判断になるのらしいのですが、、、、、、、
無理がありますよね・・・・・・
(倒壊するより、浮き上がってでも持ちこたえるすまいの方に住みたいですよ!)


多くの一般の方、設計者、研究者が先の記事にコメントを寄せています。
伝統工法のように柔らかい構造と、建築基準法が求める堅い構造のせめぎ合い・・・・
堅い構造の延長として長期優良がとらえられ、それが今回の実験での倒壊映像として流れたんだから、、、、

実験の主催者側としては、今回の実験のデータや研究結果をちゃんと公開し、議論の場に出してほしいですよね。
その上で、今後どういった仕様を求めていくのか、多くの人の議論を待ちたいです。


注)
一般の方がこれらの記事やニュースを見て、一般の木造住宅や長期優良住宅への不信感を募らせても困るので、、、、

今回の実験は、極端に縦横比の違う(間口に比べて奥行きの長い)、しかも3階建ての住宅を、誰が見ても弱いと感じる横方向に、建築基準法で想定する地震力の1.8倍で加震しています。

また、主催者側は耐力壁の配置はバランスがいいと書いてましたが、横方向の揺れに耐える耐力壁が外壁に取り付いていない(外壁をTの字で支えれば強くなります)、ちょっと不安のあるプランにも見えます。
真ん中の壁は完全に独立し、垂れ壁(雑壁)も外壁側に通っていない様にも見えます。
(2階建てなら問題ないでしょうが、、、3階建てには無理があるように思いますね)

一般に建てられている住まいはもっとバランスのいいすまいだと信じたいので、この実験結果だけを見て、今の基準は問題だとかは、簡単にはお思いにならない様、お願いします。

一方、木造で3階建てを建てるには、今の基準だけでは不足なのではないかと、、、
長期優良住宅の認定をとったからといって、すべてに安心できる分けでもない、、、、

様々なことを考えながら設計に取り組んでいきます。
すまいを考えられる方、色々な疑問、関心を設計者にぶつけてみてください。



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[ 2009/11/13 09:00 ] 地震について | TB(0) | CM(0)

木楠会見学ツアー その1  <E-ディフェンス> 

看板 前からいちど、生で見たいと思っていたE-ディフェンスの公開実験。

ちょうど私の出身母校、神戸大学のOB会にあたる木楠会が会員向けに見学会を開いてくれたので参加して見学してきました。



全景
E-ディフェンスは、兵庫県の三木市にある、実物大の建物に実際の地震波を入力して、3次元に揺らして建物の破壊特性を調べることの出来る施設。

阪神淡路大震災後に作られ、これまでにもたくさんの実験を行っており、建築関係のサイトでも多くの動画が紹介されています。

震災経験者として、このE-ディフェンスでの実験は私の注視してきた分野。
いつか実際に見たいと思っていた念願の見学が叶いました \(^_^)/

実験棟1 実験棟2

実験棟の周囲に点々としているこれらの建造物・・・・・
なるほど! いちいち実験棟内部で建物を造っていちゃあ、年間の実験件数が限られてしまう。
外で造ってから搬入するんだ! これらは、これから実験したり、既に実験が終わった建造物たちですね。
鉄筋コンクリートの建物や、橋の柱脚などでした。


搬入口 で、こちらが実験棟への搬入口・・・・・・でかい!!

(大きさ測っておけば良かったなあ、、、、いつものカバンに測距計が入ってたのに、、、(・・,) )




内部
ホームページによれば、建物面積 5,200m2 高さ 43m
今回揺らす、木造3階建ての住宅2棟はこの程度の大きさです(もちろん実物大)。

今回の実験は、木造3階建ての住宅の同規模の住宅で

4. 耐震等級1の建物(建築基準法のレベルです)
3. 床の水平構面剛性が不足する場合
2. 柱頭、柱脚の接合部の性能が不足する場合
1. 耐震等級2の建物(建築基準法の1.25倍の耐力で長期優良住宅に求められる性能です)

を、人工的に作成した、基準法で想定するレベルの1.8倍の地震波で揺らしてみるそうです。
4.と3.の実験は既に終わっており、実験棟の外に2等並べて建っていました。

頂いた建物の図面はこちら。クリックで拡大します。
平面図立面図


実験棟今回は、
 2. (左側)柱頭、柱脚の接合部の性能が不足する場合
 1. (右側)耐震等級2の建物

の比較実験です。
当然、左の、柱頭・柱脚の接合部に不安のある住宅に損傷が見られるはず。こっちは絶好のアングルですね。

E-ディフェンスの実験では、倒壊させてしまうと、加振台の損傷や人的被害も予想されるため、倒壊の心配のある実験では、建物をワイヤーで引張り、倒壊まではさせない様にしているのをWebの画像で見たことがあります。今回ワイヤーが張られていないのは、倒壊までするような心配はないとの判断でしょう。

こちらが実験映像



・・・・・・・・・・・・
1.(右)が耐震等級2だったよなあ、、、、、
・・・・・・・・・・・・

実験結果に、皆、しばらく呆然としていました、、、、、
アナウンスもなく、、、、
しばらくして、場内からの退出を求めるアナウンス、、、、


いつもなら実験後にアナウンスで、その日の実験の概要、速報的な結果を説明してくれるそうですが、この日はそれも無く、さっさと帰って、、、お願い、、、的でしたね。

関係者はショックでしたでしょう。


関係者でないので、評価は差し控えますが、私なりに2.3気づいたことのコメントのみ。

・平面形状が縦長の3階建てプラン。こういうプランの壁量は縦方向は地震力により決まり(床面積による)、横方向は風圧力(建物を横から見た面積による)によって決まります。
・この場合、縦方向の筋交いよりも、横方向の筋交いが圧倒的多く必要なのが常。
・でも今回のプランを見る限り、縦方向も横方向もほとんど同じ数の筋交しか入っていないですね。

おそらく、地震による被害の測定として、風圧力は無視したのでしょうが、ここまで極端に縦横の比率の違う建物の場合、縦横を同じ筋交いの数はないですよね。

地震力と風圧力  基準法では分けて算定しますが、ある意味、建物の形状特性からの耐力の算定のため、両者は一体となって耐力を決めてくれているのではないでしょうか?


ただ、この筋交いでの実験で、4.と3.の建物も倒壊せず、1.の、等級2の建物のみ倒壊した!!

という事実には大きなものがあるでしょうね。

映像で見る限り、台が大きく揺れたとき、左の2.の建物の手前の外壁が元から浮き上がっているのが見られます。
柱の接合部が外れたのか、土台自体が浮き上がったのか定かではないですが、、
浮き上がらなかった右側の住宅は、このときの加震で1階と2階の接合部が大破し、その後の揺れでとどめを刺されていますね。

これだけ見て、判断できる話じゃないけど、、、、
耐震等級2の建物というけれども、実際には横方向の筋交いの不足する、基準法レベル以下の建物。
そういう耐力不足の建物の場合、耐力が緩い方が倒壊はしにくい、、、
堅くするなら、ちゃんと堅くしなくちゃいけない、、、、

って事じゃないかな。
横方向も基準通りの筋交いを入れて固めておけば一番強かったんじゃないですか?


勝手なこと云っても無責任なので、主催者の発表を待ちたいです。


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[ 2009/10/28 10:39 ] 地震について | TB(0) | CM(0)
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