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木楠会見学ツアー その1  <E-ディフェンス> 

看板 前からいちど、生で見たいと思っていたE-ディフェンスの公開実験。

ちょうど私の出身母校、神戸大学のOB会にあたる木楠会が会員向けに見学会を開いてくれたので参加して見学してきました。



全景
E-ディフェンスは、兵庫県の三木市にある、実物大の建物に実際の地震波を入力して、3次元に揺らして建物の破壊特性を調べることの出来る施設。

阪神淡路大震災後に作られ、これまでにもたくさんの実験を行っており、建築関係のサイトでも多くの動画が紹介されています。

震災経験者として、このE-ディフェンスでの実験は私の注視してきた分野。
いつか実際に見たいと思っていた念願の見学が叶いました \(^_^)/

実験棟1 実験棟2

実験棟の周囲に点々としているこれらの建造物・・・・・
なるほど! いちいち実験棟内部で建物を造っていちゃあ、年間の実験件数が限られてしまう。
外で造ってから搬入するんだ! これらは、これから実験したり、既に実験が終わった建造物たちですね。
鉄筋コンクリートの建物や、橋の柱脚などでした。


搬入口 で、こちらが実験棟への搬入口・・・・・・でかい!!

(大きさ測っておけば良かったなあ、、、、いつものカバンに測距計が入ってたのに、、、(・・,) )




内部
ホームページによれば、建物面積 5,200m2 高さ 43m
今回揺らす、木造3階建ての住宅2棟はこの程度の大きさです(もちろん実物大)。

今回の実験は、木造3階建ての住宅の同規模の住宅で

4. 耐震等級1の建物(建築基準法のレベルです)
3. 床の水平構面剛性が不足する場合
2. 柱頭、柱脚の接合部の性能が不足する場合
1. 耐震等級2の建物(建築基準法の1.25倍の耐力で長期優良住宅に求められる性能です)

を、人工的に作成した、基準法で想定するレベルの1.8倍の地震波で揺らしてみるそうです。
4.と3.の実験は既に終わっており、実験棟の外に2等並べて建っていました。

頂いた建物の図面はこちら。クリックで拡大します。
平面図立面図


実験棟今回は、
 2. (左側)柱頭、柱脚の接合部の性能が不足する場合
 1. (右側)耐震等級2の建物

の比較実験です。
当然、左の、柱頭・柱脚の接合部に不安のある住宅に損傷が見られるはず。こっちは絶好のアングルですね。

E-ディフェンスの実験では、倒壊させてしまうと、加振台の損傷や人的被害も予想されるため、倒壊の心配のある実験では、建物をワイヤーで引張り、倒壊まではさせない様にしているのをWebの画像で見たことがあります。今回ワイヤーが張られていないのは、倒壊までするような心配はないとの判断でしょう。

こちらが実験映像



・・・・・・・・・・・・
1.(右)が耐震等級2だったよなあ、、、、、
・・・・・・・・・・・・

実験結果に、皆、しばらく呆然としていました、、、、、
アナウンスもなく、、、、
しばらくして、場内からの退出を求めるアナウンス、、、、


いつもなら実験後にアナウンスで、その日の実験の概要、速報的な結果を説明してくれるそうですが、この日はそれも無く、さっさと帰って、、、お願い、、、的でしたね。

関係者はショックでしたでしょう。


関係者でないので、評価は差し控えますが、私なりに2.3気づいたことのコメントのみ。

・平面形状が縦長の3階建てプラン。こういうプランの壁量は縦方向は地震力により決まり(床面積による)、横方向は風圧力(建物を横から見た面積による)によって決まります。
・この場合、縦方向の筋交いよりも、横方向の筋交いが圧倒的多く必要なのが常。
・でも今回のプランを見る限り、縦方向も横方向もほとんど同じ数の筋交しか入っていないですね。

おそらく、地震による被害の測定として、風圧力は無視したのでしょうが、ここまで極端に縦横の比率の違う建物の場合、縦横を同じ筋交いの数はないですよね。

地震力と風圧力  基準法では分けて算定しますが、ある意味、建物の形状特性からの耐力の算定のため、両者は一体となって耐力を決めてくれているのではないでしょうか?


ただ、この筋交いでの実験で、4.と3.の建物も倒壊せず、1.の、等級2の建物のみ倒壊した!!

という事実には大きなものがあるでしょうね。

映像で見る限り、台が大きく揺れたとき、左の2.の建物の手前の外壁が元から浮き上がっているのが見られます。
柱の接合部が外れたのか、土台自体が浮き上がったのか定かではないですが、、
浮き上がらなかった右側の住宅は、このときの加震で1階と2階の接合部が大破し、その後の揺れでとどめを刺されていますね。

これだけ見て、判断できる話じゃないけど、、、、
耐震等級2の建物というけれども、実際には横方向の筋交いの不足する、基準法レベル以下の建物。
そういう耐力不足の建物の場合、耐力が緩い方が倒壊はしにくい、、、
堅くするなら、ちゃんと堅くしなくちゃいけない、、、、

って事じゃないかな。
横方向も基準通りの筋交いを入れて固めておけば一番強かったんじゃないですか?


勝手なこと云っても無責任なので、主催者の発表を待ちたいです。


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[ 2009/10/28 10:39 ] 地震について | TB(0) | CM(0)

阪神大震災 その後 

大学時代のゼミ同期の友人の再婚披露があり、久々に神戸へ。

時間があったので、神戸時代の勤務先で最後に関わっていた仕事、長田区の新長田駅南の再開発事業のその後を見てきました。

新長田駅南再開発事業は、阪神大震災後、慌ただしく都市計画決定された約20haにも及ぶ再開発事業。
新長田駅南再開発事業
(神戸市資料より)
当時勤務していた森崎建築設計事務所が、このうちの赤丸の部分、久二塚(北から、腕塚町-久保町-二葉町の3街区を合わせた総称です)6丁目街区を担当することになり、私は久二塚6丁目全体の基本計画と、一番北の腕塚6丁目街区の実施設計まで担当しました。

二葉南
3街区の一番南、二葉町の南側。建築計画の看板がありましたが、、、
震災から14年。長いけれど、さすがに大きすぎた再開発計画・・・
神戸市は昨年、市による事業をあきらめ、民間企業による建設計画に切り替わっています。

久保6
中央、二葉町。いまだ空き地。
ここはどういった計画に変わったのか?

腕塚6北
一番北側の腕塚6丁目街区。5丁目と6丁目の間の大正筋商店街の復興のシンボルとして、最初に建設された棟。10年の歳月が流れました。

腕塚6 2棟
左が腕塚6丁目、第1期の市営住宅、右は第2期に建設された分譲棟。

コレクティブ
市営住宅の低層等は前後の棟を近接させて渡りデッキで繋ぎ、集合住宅における路地の再現を図りました。
2階の人工地盤上に広場を設け、広場に面した集会所を入居者で共用する、コレクティブハウジングの手法も試みています。


被災者の早期復興を願い、多くの方達が膝を突き詰めて議論しました。
が、あまりに大きすぎた再開発計画、、、でしたね。


(友人の再婚披露の方は、親しい友人の集まりって聞いてたんだけど、、、、100人近い人たちが集まり、もう新婚の披露宴状態! 新婚旅行はタイ、プーケットだって!・・・いいなあ!)


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[ 2009/01/26 13:03 ] 地震について | TB(0) | CM(0)

地震について 

1.17を顧みて、日ごろ思っている地震対策を改めて考えてみる。

大地震に堪えられる住まいのために、十分な軸組と構造用合板による耐震性の確保は行っている。
が、それだけでいいのか?

耐震性はその名の通り、地震に耐える性能。
大地震でも建物が倒壊しない程の強度を建物に持たせるのだが、想定する(経験した)震度を上回る地震がくればどうなるのか、、、

幸い、ここ岡山県は大きな地震は少ない。
県による震度予想マップでも、ごく一部の地域で震度6が予想されているだけで、ほとんどの地域では震度5以下の予想になっている。
岡山県の震度予想マップ
(南海地震に係る被害想定及び液状化想定の再評価・研究等事業(平成14年度)より)

それでも震度5弱で家屋内の家具は移動し、震度5強では転倒の恐れがあることを考えると、住まいが「倒壊」しないだけでは「安心」とは言えない。

耐震性を高めることは、現行法規では、家を「固く」することに他ならない。
一方、固くすればする程、地盤の揺れはダイレクトに建物に伝わり、それだけ「震動」として家具や食器の被害を大きくするといったジレンマを抱えている。

東海地方など、大地震の予想の高い地域を中心に、「免震」装置が住宅にも取り入れられるようになってきてはいるが、コストは400万円前後かかるといい、なかなか全国的な普及は難しいだろう。

柱梁に緩衝材を取付ける、「制振」装置も各社から販売されている。
こちらは50万円程のコストで導入できるが、建物全体の揺れをなくすものではなく、ダンパーで揺れを吸収し、震度を2段階ほど下げるぐらいの効果。
(ただ、震度が2段階下がって、震度6強→震度5強になれば、建物の被害はほとんど無くなる。)
一方、2階の揺れはかなり押えることができるが、地盤の揺れが直接伝わる1階の揺れには効果は少ないとか。
増改築時に導入しやすいことや、車による震動を押えることもできるようで、地震対策の一つの解にはなると思う。

最近、気にしているのはビイックという地盤調査会社が考えた、「地盤制振システム」。

ベタ基礎の下に耐圧版を設け、ベタ基礎との間にすべりシート層を挟み込むことで、すべり効果により、基礎から上の建物の揺れを半減させるというもの。費用は200万円弱。

「免震」では国土交通大臣の認定が必要になり、手続きも煩雑だが、こちらの工法は普通の確認手続きで導入可能とのことなので一般化しやすい工法ではある。

ただ、建物の荷重が加わっても本当に滑るのか?という構造設計者の危惧。
耐久性は?効果が無くなった時に交換(あるいは改修)ができるのか?
といった懸念要素は、やはりある。

地震の被害を考えると、400万円の免震装置でも保険として高くはない。
起るのか、起らないのか。
いつ、どこに、どれほどの。

設計者に地震予知能力は無い。
しかし、正しい知識を仕入れ、正しい情報を伝え、お施主さんと一緒になって納得できる住まいを造っていきたい。




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[ 2009/01/21 11:34 ] 地震について | TB(0) | CM(0)
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ofctani

Author:ofctani
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